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専門家コラム

成功するヨーロッパ進出のために:ビジネス展開を最適化するには

2025-06-06 テーマ: 海外進出

ヨーロッパは今なお世界の中でも有数のビジネス進出先として注目されています。しかし、現地での事業立ち上げは決して容易ではありません。

世界銀行の「Business Ready 2024年版」レポートによると、ヨーロッパで事業を拡大する企業は、世界でも有数の複雑な規制・手続き環境に直面するとされています。これに各国固有の法制度、言語、税制、政治事情が加わることで、事業運営上の摩擦が生じやすいのが現実です。

それでも、ヨーロッパ市場への進出には大きな魅力があります。正しい戦略と体制が整えば、4億5000万人以上の消費者へのアクセス、高度なインフラ、そしてイノベーションに寛容な安定したビジネス環境を手に入れることができます。

今回は、理論を超えて「実践」に焦点を当てます。ヨーロッパでコンプライアンスを守りながらスケーラブルな事業基盤を築く際に直面する課題と、それらを乗り越えるための実用的な解決策をご紹介します。

 

課題1:国ごとに異なるコンプライアンスの地雷

ヨーロッパは、世界でも最も洗練されている一方、断片化された規制環境を持っています。コンプライアンスは一度きりの手続きではなく、国ごとに継続的な対応が求められます。以下は主な注意点です。

◆ 外国直接投資(FDI)審査
EUでは外国直接投資(FDI)審査の枠組みが設けられていますが、実際の審査・運用は各国に委ねられています。

フランス:重要産業への投資は事前承認が必要
ドイツ:テック分野での非EU投資を重点的に審査
イタリア:「ゴールデン・パワー(特別権限)」を行使し、投資を拒否するケースも

複数国への投資を検討する場合は、審査プロセスが国ごとに異なるため、時間差や結果の相違を前提にした計画が必要です。

 

◆ 法制度や規制の変化

事業開始後も、コーポレートガバナンスのルール、ライセンス、人事労務、税制などが頻繁に改定され、国ごとに異なります。特にブレグジット後の英国とEU間では、貿易・データ・雇用関連法の違いが顕著です。

 

◆ 外国補助金の精査

欧州委員会は現在、EU市場における競争を歪める可能性のある外国政府による補助金を調査する権限を有しています。欧州でのM&Aや事業拡大時には、調査対象になる可能性もあります。

 

課題2:欧州ビジネスの「見えないコスト」

法律顧問や会計士への依頼料、設立費用などは予算化していても、想定外のコストが次々と発生することがあります。

  • 銀行関連:最低預金額の要件、本人確認の遅延、口座開設に数ヶ月
  • 保険関連:労災保険、民事責任保険などの法定加入義務
  • 法律関連:公証翻訳、アポスティーユ(認証)、委任状作成など
  • コンプライアンス:国ごとの会計監査義務、月次報告要件など

たとえば、フランスやイタリアでは法人銀行口座の開設に数ヶ月かかることがあります。スペインでは対面予約が必須、ドイツでは資本金の事前入金が義務と、国によって大きく異なります。

また、税制度(所得税、付加価値税、地方税など)も国ごとに異なるため、最適化にはクロスボーダーでの綿密な税務シミュレーションが不可欠です。

 

課題3:採用・解雇をめぐる制度とリスク

ヨーロッパでの事業は人材なくして成り立ちません。しかし、ヨーロッパでの採用や退職手続きに関する制度は国ごとに厳しく、現地の理解なしではトラブルを招きかねません。

ヨーロッパでは「随意雇用」は存在しません。雇用契約は拘束力を持ち、解雇には正当な理由、通知期間、退職手当などが必要です。従業員は団体交渉協定、予告期間、退職金制度によって保護されています。しかし、一歩間違えれば、多額の費用がかかるトラブル、評判の失墜、そして規制当局の監視につながる可能性があります。

国際展開においては、海外雇用代行サービス(EOR)、非居住者給与計算(NRP)、あるいは法人形態など、選択する形態によって、コンプライアンス義務から市場投入までのスピードまで、あらゆる側面が決まります。最適な選択肢は、貴社の目標、リソース、活動内容、そしてスケジュールによって異なります。

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