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「給与計算代行」の選定から導入まで

選定から導入までの流れ

アメリカ70%以上 ヨーロッパ、アジア、中南米、オセアニアなど50%以上 日本10%前後 課題・目的の確認 オリエンテーション プレゼンテーションと選定 契約 導入・移行期間 運用 ノウハウの定着と継承

1)課題・目的の確認

アウトソーシングを有効活用するには、まず何を目的として導入するのか、その優先順位を社内で明確にしておく必要がある。コストダウンなのか、人事部門のリソースの有効活用なのか、あるいは従業員へのサービス向上なのか。経営者と従業員の間でコンセンサスがないと、期待した効果が十分に得られない可能性もある。

コストについては、最初に現状でどれくらいかかっているのかを把握、認識しておくことが不可欠だ。初期コスト(コンピュータシステムの導入費、プログラムの開発費など)、運用コスト(人件費、システムの減価償却費など)、継続コスト(退職などによる後任人材の採用費、育成費など)があるほか、個人情報を扱う業務であることによるセキュリティー上のリスクをコストに換算しておくことも重要だ。

また、担当者の退職に伴うアウトソーシングの場合は別として、これまで給与計算を担当していた従業員を違う部署や業務に配置転換することにもなる。この点についても事前に本人や労働組合との話し合いを行っておかなくてはならない。

2)オリエンテーション

社内の要件がまとまったら複数の代行会社のサービス内容、見積もりなどを比較して検討していく。候補とする代行会社はまず、以下の観点で選びたい。

規模
コストの安さを前面に打ち出している代行会社の場合、ごく小人数で運営しているケースがある。いくら安くても、常に忙しい状態で、対応してほしい時に動いてもらえないようでは意味がない。ある程度組織力のある会社を選んだ方が無難だろう。

専門性
人事・総務関連のサービスを幅広く提供している代行会社の場合、給与計算業務をそれほど得意としていない場合もある。専門的な知識が必要な仕事だけに、給与計算を業務の柱としている会社を選んだ方が何かと頼りになる。

代行会社に対しては、社内でまとめた課題を正確に伝え、最適な提案をしてもらうことが重要だ。その会社の専門性や提案力を見るためにも、見積もりだけではなく、必ず「提案書」を作成してもらうようにしたい。その際、既存の自社の人事制度やシステムをできるだけ残したいのか、あるいは既存のものを変えてでも効率化を進めたいのかをはっきり伝えておこう。

イメージ また、見積もりに関しては、Web上やパンフレットなどでアウトラインを示している代行会社もあるが、個々のケースで大幅に変動する場合もある。特に大手代行会社の場合は、多くの顧客に均質なサービスを提供するため、業務プロセスが高度にパターン化されており、カスタマイズを依頼するとコストが大幅にアップしてしまうこともある。必ず自社の条件をすべて組み込んだ見積もりを出してもらって判断しなくてはならない。


3)プレゼンテーションと選定

提案や見積もりを検討する際には、どうしても単価(コスト)に注目してしまいがちだが、中途半端に社内に業務が残ってしまうと、せっかくのアウトソーシングの効果が半減してしまう。場合によっては割高になるケースもあるので注意が必要だ。あくまでも、最初に決めたアウトソーシング導入の目的がすべてクリアされているか、優先事項が後回しになっていないか…といったポイントをしっかりチェックしよう。

また、社会保険・労働保険関係の業務などは給与計算と連動していることが多いため、できるだけ同じ代行会社に委託することが効率的だ。コストだけを考えると複数のベンダーを使い分けた方が安いように思える場合もあるが、連絡や調整業務のコストを考えると結局は割高になることが多い。

いずれにしても一度決定し導入した代行会社を後で変更するとなると、非常にロスが大きくなる。十分に検討し、協調して業務を行える代行会社を選びたい。

4)契約

代行会社が決まったら契約書を交わす。特に注意したいのは、「サービス内容の範囲」及び「委託終了時の報酬額と対応」だ。

まず、サービス内容については、業務プロセスに沿って一つひとつ確認する。委託側と受託側で業務に対する認識が異なることはよくある。給与計算は毎月確実に行うことが必要な業務なので、問題が発生しても止めてしまうことができない。それだけ事前の確認が重要になる。

委託終了のケースは、パフォーマンスが期待に沿わなかったとか何かトラブルが発生したとかいう場合なので、事前に十分に取り決めをしておかないと双方とも無駄に感情的になってしまい、きれいに解約できないといった事態にも陥りかねない。違約金やデータの引き渡し方法などがポイントになる。

5)導入・移行期間

正式に契約を交わしたらプロジェクトがスタートする。システムの導入・移行には数ヵ月必要な場合もあるので、アウトソーシングをスタートさせたい時期が決まっている場合には、逆算して余裕のあるタイミングで社内の話し合いを始める必要があるだろう。

企業側では代行会社との窓口になる担当者を選定し、移行プロジェクトの進捗を管理する。担当者は、最低でも給与計算の基礎知識を持つと同時に、常に支給日という期限を意識してスピード感のある対応ができる人材が望ましい。

6)運用

イメージ担当者は業務の流れを見ながら定期的に代行会社とミーティングを行う。即時対応が必要な問題があればこのミーティングで解決していく。

給与計算のアウトソーシングが軌道に乗るまでには、基本的に1年かかる。毎月の給与に加えて賞与や年末調整といった一連の業務がすべて回るワンサイクルが1年だからだ。この1年が経過した時点で契約内容の見直しを行おう。自社内に残した業務で、まとめて代行会社に委託するべき業務などがあった場合は、それに対応して契約も変更する。

また、アウトソーシング導入前と導入後のコストや社内業務の変化などを比較し、当初見込んだ成果がしっかり出ているかどうかを検証することも重要だ。

7)ノウハウの定着と継承

代行会社に委託している業務の範囲、代行会社との間での約束事…など、細かいアウトソーシング活用ノウハウは、担当者が中心になってマニュアル化しておくとよい。これは担当者が交代する際の引き継ぎ資料としても活用できる。

料金の決まり方

一般的には「1人当たりの1年分の委託料×人数」で計算される。単価は給与計算だけなのか人事業務まで代行するのかなど、サービスの内容によって大幅に変わってくる。アルバイト・パートに関しては、正社員よりもやや安いケースが多い。また、サービス導入に際して初期費用が必要かどうかなども確認しておきたい。

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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