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専門家コラム

第44回 年末調整の留意点~その1

2017-10-31 テーマ: 人事給与アウトソーシング

一年が過ぎるのは早いもので、そろそろ平成29年の年末調整を行う時期が近づいてきました。

今回は、平成29年分の年末調整業務において留意しておくべき点について、みていきたいと思います。

 

1.所得控除額の改正

 

平成29年の所得税の計算は、給与収入が1,000万円を超える場合の所得控除額は220万円が上限になりました。つまり、給与収入が1,000万円以上の場合はその金額がいくらであろうとも、所得控除額は一律220万円になります。

この改正によって、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)」、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」、「年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額の表」が変更されています。

 

平成29年分の年末調整の際には、「平成29年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使用するように注意してください。

また、給与ソフト等で給与計算を行っている会社は、かならずアップデート等を行ってから平成29年の年末調整業務を行うようにしましょう。

 

2.復興特別所得税の計算

 

所得税の源泉徴収義務者(会社)は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際に、「復興特別所得税」をあわせて徴収することになっています。

その年の最終的な年税額を確定する年末調整においても、復興特別所得税を含めて年税額を算出しなければなりません。

 

復興特別所得税の計算自体は昨年と変更ありませんが、今年から年末調整を自社で行う場合など、念のため復興特別所得税が計算されているかを確認しましょう。

 

3. 給与支払事務所等の移転届出書に関する改正

 

年末調整とは直接関係ありませんが、平成29年4月1日以後の給与支払事務所等の移転の際に所轄税務署へ提出する「給与支払事務所等の移転届出書」は、移転後の所在地の所轄税務署長への提出が不要になっています。

従来は、移転前と移転後の所在地を管轄する税務署の両方に移転届出書を提出する必要がありました。今回の改正により、移転届出書は「移転前」の給与支払事務所等の所在地の所轄税務署長へのみ提出すればよいことになります。

 

4.扶養控除等(異動)申告書等に記載するマイナンバーに関する改正

 

平成29年1月1日以降に支払いを受けた給与等について、事前に提出者本人、控除対象配偶者、扶養親族等のマイナンバー(個人番号)やその他の事項を記載した帳簿を会社が備えている場合は、以下の書類を提出する際にマイナンバーの記載を省略することができます。

1)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

2)従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書

3)退職所得の受給に関する申告書

4)公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

 

マイナンバーが記載されている書類は、保管や破棄の方法について、厳格な制約があります。そのため、マイナンバーが記載されている書類は少ないに越したことはありません。

せっかく会社の負担を軽減する改正が行われたのですから、改正を生かせるように会社の作業手順等を見直すことをおすすめします。

 

 

 

今回紹介した事項以外でも、平成30年から配偶者控除や配偶者特別控除に関する改正も行われています。

これらの事項は平成30年1月以降に支払われる給与等から影響してきますので、次回は、その部分を中心に紹介していきたいと思います。

鈴与シンワート株式会社 人事給与アウトソーシングS-PAYCIAL担当顧問
経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。
(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。

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