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コース別人事制度
[コースベツジンジセイド]

社員の昇進、昇格、処遇などにあたって、複数のコースを設定し、それぞれに分けて雇用管理を行う制度のことです。企業によって総合職、一般職、事務職、専門職など、さまざまなコースが設定されています。

コース別人事制度のケーススタディ

中小企業の導入は増えている半面<br />大企業の中には廃止の動きもある

1985年の男女雇用機会均等法の制定を受け、これまでの男女別賃金を引き続き維持するために、商社や金融業などが「苦肉の策」として導入したのが始まりとされます。厚生労働省の2003年の調査では、従業員100〜299人の企業の導入率は、3年前に比べて3ポイント上昇して13.7%、従業員5000人以上の大企業では能力主義の浸透などで、一般職を非正社員に置き換え、コース別人事を廃止する動きが出てきたことで、実施率は46.7%と5.2ポイント低下しました。

しかし、賃金の低い一般職に女性だけを採用するのは男女間の賃金格差を容認するものだとして、コース別人事制度に対する批判は少なくありません。厚生労働省の「男女間の賃金格差問題研究会」は2002年11月に発表した報告書の中で、総合職では男性のみを採用する企業が5割、一般職では女性のみを採用する企業が6割あり、その中には男女別雇用管理とほとんど変わらない事例も多いと指摘。女性を一般職へと誘導するような制度設計は早急に是正するか廃止すべきと提言しています。

また、コース別人事制度が男女差別にあたると判断された裁判例も出ています。住友金属工業(本社・兵庫県尼崎市)の女性社員らが賃金差別があったとして会社側に賠償を求めた訴訟で、大阪地方裁判所は3月末、原告女性勝訴の判決を言い渡し、安易なコース別人事制度の導入に警鐘を鳴らしています(会社側は控訴)。

一方、厚生労働省が2003年度にコース別人事の導入企業を対象に実施した調査では、約8割の企業がコース転換制度を設けているものの、転換の実態を見ると過去3年間に一般職から総合職への転換について実績のある企業は9.7%に過ぎませんでした。また、上司の推薦を絶対条件として自己申告の道が閉ざされているなど、「制度はあるが実際には使えない」ケースがかなり多いというのが実態のようです。今後はコース転換制度を充実させ、一般職として入社した女性が総合職に転じて活躍できる仕組みを充実させる必要があります。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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