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法定外補償制度
[ホウテイガイホショウセイド]

業務や通勤に起因した労働者の負傷、疾病、障害、死亡などに対して、労働者災害補償保険法(労災保険法)による労災補償給付とは別に、企業が独自の立場から補償給付の上積みを行う制度です。

法定外補償制度のケーススタディ

被災労働者の「障害補償」「遺族補償」<br />「身分補償」「休業補償」などが一般的

労災保険法に基づく法定給付は、被災労働者の生計費を補うのに十分とは言えないのが現状です。ましてや一家の大黒柱を労働災害で失った遺族は、これまでの生活水準を維持していくのは容易ではありません。法定外補償制度はこうした法定給付の不足分を、企業の費用負担で補うことを目的として導入された福祉制度の一つです。

今日では上場企業を中心に多くの企業が導入するようになっていますが、よく知られているのは被災労働者の「障害補償」、被災労働者が死亡した場合の「遺族補償」や「葬祭料」です。このほかにも被災労働者が休業している間の身分を補償する「身分補償」や「休業補償」、療養が必要な場合に実費と法定給付の差額を補償する「療養補償」なども一般的なものです。

業務・通勤災害の法定外補償額は年々高額化する傾向にあります。とくに業務災害の遺族補償額は、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の死亡給付金額である3000万円に近付いてきました。性格がまったく違う自動車保険の損害賠償額の水準を、そのまま労災保険制度に当てはめることについては、産業界では慎重な意見が根強いようですが、労働組合側は被災労働者や遺族の生活安定に企業が相応の責任を持つのは当然と主張しており、労使間で十分な話し合いを行うことが必要でしょう。

ともあれ法定外補償制度は任意の制度ですから、制度を導入するか否かは各企業の判断に任せられています。また、導入した場合でも補償金支給の要件、支給額、支給対象者は公序良俗に反しない限り、企業が自由に制度設計をすることができます。したがって制度の内容は労働協約や就業規則などで明確に規定しておく必要があります。また、パートタイマーなどの短期雇用者も労災保険法の適用対象に含まれることから、これらの短期労働者に対する労災補償も企業にとっては今後の課題になりそうです。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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