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定期昇給制度
[テイキショウキュウセイド]

年齢や勤続年数といった年功の経過にともなって、毎年、自動的に基本給を上げていく仕組み。賃金水準そのものを底上げするベース・アップ(ベア)とともに日本企業の賃金制度の根幹をなしていましたが、最近では廃止したり、見直したりする企業が増えています。

定期昇給制度のケーススタディ

日本経団連のアンケートでは<br />経営者の37.6%が「見直すべき」

終身雇用制が当たり前だった日本の社会では、年齢とともに給料が上がる年功賃金制度は大きな意味を持っていました。従業員にとっては安心した将来の生活設計を持つことができ、一方、企業にとっても安定した人材を確保でき、労働生産性の向上が図れるなどのメリットがあったからです。

しかし、経済成長の鈍化、国際競争の激化、雇用の流動化、高齢化の進展と雇用延長の社会的要請など、社会・経済の環境の変化にともない、その役割は大きく低下しており、逆に、成果主義との乖離や人件費の硬直化など、そのデメリットがクローズアップされるようになってきました。

日本経団連の「経営者に対する賃金決定のあり方についてのアンケート」(2002年)を見ても、定期昇給制度を見直して降給も導入すべきという回答が全体の37.6%にのぼっています。そうした中、ホンダ、日産自動車、キヤノン、日立製作所など、定期昇給制度を廃止し、仕事の評価などによって支給額が変わる成果主義的な賃金制度の導入に踏み切る企業が相次いできました。

ただし、新聞などで「定昇廃止」と報じられている企業の多くは、評価が悪い場合は昇給ゼロや降給もありうるという給料改革が主で、実際には対象となる一般社員層のほとんどに昇給があるというのが実態のようです。

今後、定期昇給制度を見直したり廃止したりする企業の動きはさらに加速すると思われますが、その一方、職種や業務によっては、年功的な賃金制度が果たしてきた機能を評価すべきと捉えている企業も少なくありません。企業にとって定期昇給制度における必要な機能をどのように残すのか、またその機能の対象をどのように絞り込むのか、十分に検討する必要があるでしょう。またどのような選択をするにせよ、従業員の協力が不可欠なのは言うまでもありません。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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