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税制改正
[ゼイセイカイセイ]

税制改正とは、毎年発表される「税制改正大綱」に基づいて行われる、日本の税金制度の変更のことです。

1. 税制改正の概要

税制改正の流れ

まずは税制改正されるまでの流れを整理します。2020年から2021年にかけて進められた税制改正は例年通りのスケジュールとなり、次の通りに進められました。

各省庁が税制改正の要望を提出:9月30日まで(取りまとめ時点)
与党税制改正大綱の公表:12月10日
税制改正大綱の閣議決定:12月21日
税制改正大綱の公表:12月21日
所得税法等の一部を改正する法律案の国会提出:1月26日
地方税法等の一部を改正する法律案の国会提出:1月29日
国会での可決(参議院):3月26日
施行:4月1日

例年8月末ごろ、各省庁は税制改正の要望を提出します。これを与党税制調査会が審議し、税制の方向性を検討する政府税制調査会の考え方を踏まえて「与党税制改正大綱」をまとめます。これをもとに12月ごろ、政府が「税制改正大綱」を閣議決定し、公表します。

税制改正大綱をもとに、所得税法・地方税法の改正法案が1月下旬までにまとめられ、国会に提出されます。両議院で可決されれば、おおむね4月1日から施行されます。

税制改正大綱と関連資料

税制改正の内容は「税制改正大綱」で施行前におおよそ把握できます。2022年版の税制改正大綱で、2021年版と比較して変更された点は主に次の通りです。

  • 住宅ローン控除
  • 積極的な賃上げ等を促すための措置(p.32)
  • 所得拡大促進税制の見直し
  • 租税特別措置の停止措置の見直し(p.13)
  • 電子帳簿保存法で規定された電磁的記録の保存義務に2年間の猶予を設ける経過措置(p.67)

「税制改正大綱」には住宅ローン控除に関する要項など、年末調整に直接影響することが多く盛り込まれています。そのほかに、所得拡大促進税制や電子帳簿保存法に関連した改正点も記載されています。

税制改正大綱を簡潔にまとめたものが、経済産業省が発行する「経済産業関係 税制改正のポイント」と「経済産業関係 税制改正について」です。ただし、この二つは税制大綱の細部にまで触れたものではありません。年末調整の手続きを詳しく確認する場合は「年末調整のしかた」が公表される時期にあらためて確認する必要があります。

2. 源泉徴収・年末調整・法人税の情報収集

人事担当者があらかじめ税制改正大綱を確認し、その年の年末調整などの手続きを把握したとしても、税制改正法案が国会で可決され、施行される4月までに変更が加えられる場合があります。

国税庁は税制改正を経て、税制改正の具体的な内容を資料で示しますが、人事担当者はどの資料を活用すればいいのでしょうか。

源泉徴収

源泉徴収は所得税法等関係法令によって規定されます。源泉徴収の事務を円滑に進めてもらおうと、国税庁は毎年「源泉徴収のあらまし」を公表しています。公表時期は例年11月から12月ごろです。

「令和4年版 源泉徴収のあらまし」は、2022年9月1日現在の所得税法等関係法令に基づいて2022年12月半ばに公表されました。「源泉徴収のあらまし」冒頭にある「税制改正等の内容」で、昨年度からの変更点を確かめることができます。

年末調整

年末調整の実務を行うにあたって重要な「年末調整のしかた」は、例年9月ごろ公表されます。「令和3年分 年末調整のしかた」は2021年7月1日現在の所得税法等関係法令に基づき、9月に国税庁のホームページで公開されました。国税庁は留意事項などを示したYouTube動画も公開しています。

「年末調整のしかた」が公表されたら、まず前年からの変更点を確認します。まずは動画を確認すると理解しやすいでしょう。変更点が少ない場合は、「年末調整のしかた」を読んで用意すれば十分です。

法人税

4月に税制改正関連法が施行されると、国税庁は法人税の税率を公表します。公表前は、税制改正大綱や経済産業省の「経済産業関係 税制改正のポイント」を参考にします。4月に内容が変更されるまでに、どのような経緯があったのかは、内閣府の公式サイト「経済財政諮問会議」の資料を確認すると便利です。

3. 人事が取り組むべき点

税制改正に伴い、源泉徴収の仕方や年末調整の必要書類などが変更される可能性があります。人事が作業をスムーズに進めるには、どうすればいいのでしょうか。

情報を共有する

税制改正の内容を従業員と共有すると、仕事が円滑に進みます。

特に従業員に提出を求める年末調整の申告書を配付する際には、分かりやすい記入例などをつけ、不明な点がある場合に相談できる体制を整えます。国税庁の「年末調整のしかた」を確認し、分かりやすく解説したものを用意するのも一案です。

情報共有すると、業務効率化や社内のコミュニケーションの活発化につながるメリットもあります。

電子化への対応

電子化を進めれば、業務の効率化に結びつきます。例えば今まで年末調整で社員に提出してもらっていた控除証明書などを電子化すれば、社員の計算間違いなどによる修正作業が少なくなります。提出された書類の保管コストの低減も期待できます。

国税庁は、法定調書の電子化を推奨しており、専用サイト「e-Tax」で諸手続きが可能です。e-TaxにはWEB版で利用できるタイプと、ソフトをダウンロードするタイプの2種類があります。

ただし電子化された法定調書が、情報管理上、適切に扱われるように、経理担当・法務・システム担当はデータを取り扱う方法を協議し、システムで指定されている要件を満たす必要があります。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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