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「給与計算」の注目ニュース

産労総合研究所
2011年度 モデル賃金・モデル年間賃金、資格等級制度の実態

[2011.11.24]

大学卒・総合職のモデル所定内賃金は、35歳で34万9,585円 45歳で47万1,228円
2010・2011年度回答企業でみた賃金上昇率は、月例賃金、年間賃金ともに微増


定期刊行誌「賃金事情」を刊行するシンクタンク機関の株式会社産労総合研究所(東京都千代田区、代表 平 盛之)では、毎年、春季賃金交渉後の賃金実態を把握し、来期の賃金交渉のための基礎資料とするために、全国の100人以上企業を対象として「モデル賃金・モデル年間賃調査」を行っている。

このほど、その2011年度調査の結果がまとまったので、その概要を紹介する。


■ 調査要領

調査対象
全国1・2部上場企業および過去に本調査に回答のあった当社会員企業から任意に抽出した約3,000社

調査時期
2011年7月中旬に調査票を発送し、9月初旬までに回答のあった201社について集計。資格等級制度については、付帯調査の回答があった147社について集計。


■ 「モデル賃金の実態」調査結果ハイライト

1.2011年度 モデル賃金

・年齢ポイント別にみたモデル賃金の上昇率
「大学卒・総合職・所定内賃金」の上昇率をみると、今回も全年齢ポイントで上昇率が1%未満となっている。これは1998年度調査以降、長期にわたって続いている傾向であるが、とくに前回は、25歳ポイントが0.3%だったほかはすべて0.1~0.2%にとどまっていた。2011年度は前回からはわずかに上向いたものの、実質的には「ほぼベアゼロ」状態が続いている。

・モデル所定内賃金の年齢間格差
モデル賃金の年齢間格差は非常に長く縮小傾向が続いており、上昇率の低迷とともに、モデル賃金調査における長期トレンドとなっている。まず、おおよそこの25年間で、大学卒・総合職の年齢間格差がどう推移してきたかを、全体計の30・35・45・55歳ポイントでみてみよう。

          30歳  35歳  45歳  55歳
[1985年度]  157.6 196.1 280.2 337.6
[1990年度]  150.9 186.8 265.7 317.4
[1995年度]  148.3 180.7 250.3 305.5
[2000年度]  148.8 180.8 249.2 294.8
[2005年度]  143.8 173.1 235.0 276.8
[2010年度]  143.9 171.7 231.5 267.0
[2011年度]  143.2 171.4 231.0 270.6

55歳の平均所定内賃金は15年位前までは22歳時の3倍以上あったのだが、それが2011年度には2.7倍まで縮まってきていることになる。85年度以降で考えれば約20%の縮小である。

・諸手当
諸手当に関しては、今年度は役付手当および家族手当についてのみ調査した。
職位と手当額が明瞭な役付手当を集計した結果は、以下のとおりである。

[主任手当] 13,236円(前回14,042円)
[係長手当] 22,115円( 〃 23,115円)
[課長手当] 53,643円( 〃 53,412円)
[次長手当] 70,559円( 〃 65,983円)
[部長手当] 84,779円( 〃 82,977円)


2.2011年度 モデル年間賃金

・2011年度の賞与・一時金の支給状況
回答企業の賞与・一時金の支給状況についてみると、前回調査と単純に比較すると、年末は6,049円、0.02カ月の、夏季は21,620円、0.03カ月の増加となっている。また本調査では、毎年、前年度比の増減率について回答があったところだけを抽出して集計しているが、その直近5年間の推移は以下のとおりである。

          (前年)年末     夏季
[2007年度調査]    4.0%    2.2%
[2008年度調査]    1.9%    0.7%
[2009年度調査]  △2.5%  △12.8%
[2010年度調査]  △9.6%    2.4%
[2011年度調査]    5.5%    4.1%

2009年夏季から同年年末にかけて、賞与・一時金の増減率は大きく落ち込んでいる。賃上げ実施企業の割合と同じ傾向であるが、減少幅は賞与・一時金のほうが大きい。

・モデル年間賃金の金額および上昇率
2011年度のモデル年間賃金集計結果のうち、大学卒・総合職の年間賃金を、主な年齢ポイントで前回調査と見比べてみると、

            25歳  35歳  45歳  55歳
[2011年度調査]  364.3 561.0 762.9 898.1
[前回調査]    358.2 554.9 749.8 863.3

などとなっている(単位:万円)。
モデル年間賃金の上昇率は2009年度調査から2年続けて、ほぼ全年齢ポイントでマイナスとなる傾向にあったが、今回調査ではそれがプラスに転じた。ただし、回復基調は緩やかなものであり、震災、円高等の影響により再びマイナスに転じる可能性もある。2012年春闘の動向が注目されるところである。


■ 「資格等級制度の実態」調査結果ハイライト

・資格等級制度がある企業は8割強
まず、今回調査の回答企業における資格等級制度の導入状況をみてみると、制度の有無に回答のあった189社のうち、「資格等級制度あり」が161社、「資格等級制度なし」が28社で、導入率は85.2%となっている。

・資格等級数の平均は「9.8等級」
資格等級制度を導入している企業の等級数をみると、最も多いのが「10等級」の19.7%、次いで「8等級」と「9等級」がそれぞれ14.3%、「7等級」が10.9%と続いているが、いずれも2割未満であり、ばらつきの大きい結果になった(前回2007年の調査では、「9等級」27.3%、「6等級」15.1%、「10等級」12.2%の順)。平均等級数は「9.8等級」となっている。


▼ 詳細なデータ、グラフ、現場の意見などはこちらのページを参照

※ 調査の全データは「賃金事情」2011年10月20日号、11月5日号にて、掲載しています。


◆ 本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(株式会社産労総合研究所 http://www.e-sanro.net/ /11月18日発表・同社プレスリリースより転載)

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