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「給与計算」の注目ニュース

2018年アジア太平洋地域の昇給率は、引続きインド・中国・ベトナムが他国を上回る見込み~『ウイリス・タワーズワトソン昇給率調査』:ウイリス・タワーズワトソン

[2018.01.22]

グローバルにアドバイザリー業務とブローカー業務、各種ソリューションを提供するリーディングカンパニー、ウイリス・タワーズワトソン(NASDAQ:WLTW)が実施した昇給率調査によると、2018年のアジア太平洋地域の昇給率は、先進国市場の上昇率が低位で安定的に推移する一方で、全体としては前年を上回る傾向が見られます。上昇幅としては、インド・中国・ベトナムが最も大きな水準になることが見込まれています。

ウイリス・タワーズワトソンの昇給率調査レポート(2017年Q3 アジア太平洋地域版)によると、2018年の同地域21ヵ国の平均昇給率は、2017年の5.9%に対して6.1%と予測されています。2018年の予測昇給率は過去2年の減速から一転、上昇が見込まれていますが、これは安定した経済成長への期待を反映しているといえます。

 

2018年昇給率は緩やかな回復が期待される
昇給の予算枠の見通しに焦点を当てた本調査では、ここ数年実績がしばしば年初予想を下回る傾向となっています。ウイリス・タワーズワトソンが別途実施したウェブ調査では、52%の企業は自社の実績値と予測値はほぼ同じであったと答えている一方で、34%の企業が実績値は予測値を下回ったと回答しました。

今回のアジア太平洋地域の昇給率調査では、9ヵ国(もしくは地域;以下同様)で上昇、12ヵ国で横這いの結果となりました。 一方で、3分の2の国で、2018年の物価上昇率が低位で推移することが見込まれることは(平均3.0%;2017年の3.1%から低下)、各個人にとって実質的な昇給幅の上昇が予想されるといってよいでしょう。 アジア太平洋地域全体の実質昇給率は2017年の平均2.8%に対し、2018年予測値は平均3.1%となっています。

 

2018年のインドの実質昇給率は低下
南アジアにおける2018年の昇給率は、インドの10%を筆頭に、他国を上回る水準で推移する見込みです。 しかしインフレを考慮すると、実質ベースでの昇給率は5.3%にとどまり、2017年の5.6%から低下すると予想されます。

ウイリス・タワーズワトソン アジア太平洋地域 データサービス部門リーダーのSambhav Rakyanは「インドはアジアの中で、高い昇給率を示しています」と述べています。「しかし、インドについては、上述したここ数年の予測値と着地の傾向を考慮すると、2018年の昇給率の着地は一桁%に留まることが見込まれます。2011年以降では初めてのことであり、この調査結果は当社の予想を若干下回るものでした。」(Rakyan)

「企業は、今回の調査で明らかになった傾向に加え、将来の仕事やその遂行に求められるスキルの概念の急速な変化を踏まえ、特にテクノロジー分野の有望な人材について、採用や繋ぎとめの戦略を再考する必要があります。単に給与を上げるだけでは、長期的な解決策にはなりません。最近では、報酬やベネフィット(福利厚生)のコミュニケーションをより可視化することでEmployee Value Proposition(EVP; 会社が社員に対して提供する価値)の差別化を図る、先進的な企業も増えつつあります。」(Rakyan)

実質昇給率の予測値で見ても、インドのそれは5.3%と、ベトナム(5.7%)や中国(5.1%)と並んで、2018年もアジアのトップレベルの水準が見込まれています。一方、インドと同様数多くの人口を抱えるインドネシアも、他国に比べて高い水準となることが予想されており、その実質昇給率の予測は、2017年の3.9%に対して2018年は2.8%となる見通しです。

 

政府の目標に沿った中国の昇給予測
中国の小売・消費財業界の2018年昇給率は、ハイテク業界と並んで7%、また、製薬・ヘルスサイエンス業界の昇給率は7.4%の見込みです。

ウイリス・タワーズワトソン アジア太平洋地域 タレント・リワード部門のヘッドであるMaggy Fangは、「小売業や消費財業界における高い昇給率は、中国の消費主導型の成長によって実現されているといえます。一方、量ではなく質が問われる製薬やテクノロジーなどの付加価値重視の業界でも、高い昇給が見込まれるようになっています。中国の保険業界における昇給率は7%で、この高水準は、保険業界が急速に成長していると同時に、景気上昇の重要な要因であるという事実が反映されています。その背景として、生活の保障や投資のツールとして保険を活用するという意識が高まっていることがあります。」と述べています。

 

引続き低位で推移する先進各国の昇給率
当初見込まれていた通り、香港・シンガポール・オーストラリア・ニュージーランドの各先進国の昇給率は、全般に低い水準で推移する見通しです。オーストラリアとニュージーランドの昇給率の予測値はいずれも3.0%で、インフレを考慮した実質昇給率はそれぞれ1.1%、1.2%となっています。香港とシンガポールの昇給率はともに4.0%、実質昇給率の見込みは1.7%と2.4%です。

 

微増が見込まれる日本において生じつつある業界間格差と企業間格差
日本の2018年昇給予測は2.3%と、2017年対比プラス0.2%の結果となりました。「日本の昇給率は、依然として先進国のなかでは最も低い水準とはいえ、上昇基調が見える点に注目すべきでしょう。」と、ウイリス・タワーズワトソン 日本 リワード部門のヘッドである森田純夫は述べています。森田はこの背景として「経済環境の安定化とともに企業業績が堅調に推移していることがあるでしょう。さらに、市場の人材不足が明白となっているなかで、人材確保を意識して昇給枠を拡大する動きが表れているという要素も否めません。この上昇基調が継続するかどうかは、政府が推進する生産性革命の成否も鍵を握っているといえるでしょう。」と続けます。

今回、日本では18業界309社について調査を実施しました。昇給率が最も高いのは建設・エンジニアリング業の3.0%、次いでハイテク・小売・銀行業が2.5%、製薬・ヘルスサイエンス業界が2.4%と続きます。一方昇給率が最も低いのは保険業界およびラグジュアリー業界の2.0%でした。また全体の分布状況を見ると、2.5%以上の昇給予算を見込む企業が309社のうち45%、また3%超の昇給を見込む企業が全体の21%に達するなど、中央値で著しい変化が見えずとも、業界差・企業差が着実に広がっていることが伺えます。

「アジア共通で言えることは、上位層の給与水準を中心に上昇傾向が見られるものの、『高額の給与』が必ずしも『適切』とは限りません。公正・公平な給与を実現するために、会社やマネージャーはわかりやすく、誠意を持って社員や部下と話し合い、給与を決定することが重要です。将来、人工知能(AI)を活用した予測分析を利用することでハイパフォーマーや優秀な人材を見極め、限られた予算をそれらの人材に優先的に分配する、という時代が到来することでしょう。」(Fang)

 

◆本リリースの詳細はこちらをご覧ください。
 
(ウイリス・タワーズワトソン https://www.willistowerswatson.com/ja-jp /1月18日発表・同社プレスリリースより転載)

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