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「給与計算」の注目ニュース

2017年賃上げの見通し、定昇込みで6332円・2.00%と予測。経営側の23.7%がベアを「実施する予定」~『2017年賃上げの見通し―労使および専門家471人アンケート』:労務行政研究所

[2017.02.03]

民間調査機関の労務行政研究所(理事長:猪股 宏)では、1974年から毎年、来る賃金交渉の動向を把握するため、「賃上げに関するアンケート調査」を労・使の当事者および労働経済分野の専門家を対象に実施している。

2017年の調査結果によると、17年の賃上げ見通しは、全回答者471人の平均で「6332円・2.00%」(定期昇給分を含む)となった。昨16年の厚生労働省・主要企業賃上げ実績(6639円・2.14%)は下回るが、賃上げ率は2%台に乗るとの予測である。労使別の平均値は、労働側6235円・1.98%、経営側6286円・1.99%で、両者の見通しは近接している。

また、自社の定期昇給については、労使とも「実施すべき」「実施する予定」が8~9割台。ベースアップ(ベア)については、経営側は「実施する予定」23.7%となり、4分の1弱がベア実施の意向。労働側は「実施すべき」が60.0%と過半数を占めた。

 

【調査結果の概要】

1.実際の賃上げ見通し
・全回答者の平均:6332円・2.00%で、賃上げ率は2%台に乗るとの予測
・労使の見通し:労働側6235円・1.98%、経営側6286円・1.99%

●額・率の見通し
17年の賃上げ見通しを東証第1部・2部上場クラスの主要企業を目安とした世間相場の観点から回答いただいたところ、全回答者の平均で6332円・2.00%となった。厚生労働省調査における主要企業の昨16年賃上げ実績は6639円・2.14%であり、これは下回るものの、賃上げ率は2%台に乗るとの予測である。

労使別では、労働側6235円・1.98%、経営側6286円・1.99%となった。労使の見通しの差は51円・0.01ポイント。本アンケートにおける「実際の賃上げ見通し」は、企業業績の回復や政府の賃上げ要請などに後押しされ社会的にも賃上げムードが高まる中、14・15年と労使の見通しに開きが生じていたが、16・17年は縮小に転じている。

賃上げ率の分布は、労使とも「2.0~2.1%」が4割台で最も多く、続いて「1.8~1.9%」が1割台となっている。各種調査による大手企業の“定期昇給率”は平均で1.6~1.8%程度とみられ、今回の調査では前提として定昇率を「1.8%程度」と提示している。定期昇給制度を持たない企業もあるため一様には言えないが、調査結果から、定昇に幾らかのベアが上積みされるとの見方が多いといえる。

 

2 自社における2017年定昇・ベアの実施
※前項の「実際の賃上げ見通し」は、“世間相場”の観点から一般論として回答いただいたものであるが、ここでは自社における来る交渉に向けた考えを尋ねた。

・定昇の実施:労使とも「実施すべき」「実施する予定」が8~9割台と大半を占める
・ベアの実施:経営側の「実施する予定」23.7%に対し、労働側の「実施すべき」は60.0%

●定昇の実施
アンケートでは、賃上げ額・率の世間一般的な見通しに加え、自社における賃金制度上の定期昇給(賃金カーブ維持分を含む)および業績等に応じたベースアップ(賃金改善分を含む)の実施についても労使双方に尋ねた(なお、労働側・経営側の回答者は、それぞれ異なる企業に属しているケースが多い点に留意いただきたい)。

17年の定昇については、労働側94.5%、経営側85.9%が「実施すべき」「実施する予定」と回答。経営側の「実施しない(凍結する)予定」は3.7%(5人)にとどまった。実質的な賃金制度維持分に当たる定期昇給については、労使とも大半が実施の意向を示している。

●ベアの実施
ベアに関しては、経営側では「実施する予定」23.7%、「実施しない予定」50.4%となった。一方、労働側では「実施すべき」が60.0%と過半数を占めた。ベアに対する労使の見解には、大きな違いがある。

各年においてベアを「実施すべき」または「実施する予定」と回答した割合の推移を見ると、10年以降、低迷する経済・経営環境から、労使ともベアの実施には否定的な傾向が続いていたが、労働側は14年に一転、実施派が主流となった。例年、ベア実施には慎重な姿勢を示してきた経営側も、14年16.1%、15年35.7%と「実施する予定」の割合は増加。16年は30.1%で15年に比べるとやや減少し、17年は23.7%とさらに低下している。

 

3 2017年夏季賞与水準の見通し
※自社における17年夏季賞与水準の見通しを尋ねた。

・夏季賞与の見通し:前年夏季と「同程度」が6割程度。「増加する」は1割台

●夏季賞与の見通し
前年(16年)夏季と比べて「同程度」が労働側58.5%、経営側60.7%と6割程度を占めた。各機関集計による昨16年の夏季賞与支給実績(主要企業)は前年同期比増加となったが、17年についても引き続きこれと同程度になるとの見方である。

また、労働側では16.0%、経営側では14.1%が「増加する」としており、「減少する」はそれぞれ20.0%、17.8%であった。

 

【調査要領】
1.調査時期
:2016年12月5日~2017年1月16日
2.調査対象:被調査者6384人(内訳は下記のとおり)
◇労働側 東証第1部および2部上場企業の労働組合委員長等2113人(労働組合がない企業は除く)
◇経営側 東証第1部および2部上場企業の人事・労務担当部長2390人
◇労働経済分野の専門家 主要報道機関の論説委員・解説委員、大学教授、労働経済関係の専門家、コンサルタントなど1881人
3.回答者数および集計対象:1月16日までに回答のあった合計471人。対象別内訳は、労働側200人、経営側135人、労働経済分野の専門家136人
4.集計要領・方法賃上げ額・率は東証第1部・2部上場クラスの一般的な水準を目安に回答いただいたもので、定期昇給込みのものである。「賃上げ額」「賃上げ率」はそれぞれ別の項目として尋ね、具体的な数値の記入があったものをそのまま集計したため、両者の間には必ずしも関連性はない。

※本調査の詳細は、当研究所編集の『労政時報』第3924号(17.2.10)で紹介します。

 

【本件に関するお問い合わせ先】
企業名:一般財団法人労務行政研究所
担当者名:高橋
TEL:03-3491-1242 Email:editor@rosei.or.jp

 

◆本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。

(一般財団法人労務行政研究所 http://www.rosei.or.jp/ /2月1日発表・同社プレスリリースより転載)

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