シンガポール 賃金の指針、低所得層に60Sドル昇給勧告
政労使で構成するシンガポールの全国賃金評議会(NWC)は5月29日、7月から適用する2015~16年の賃金ガイドラインを公表した。月給1,100Sドル(約10万1,000円)以下の低所得労働者の基本給を、最低60Sドル引き上げるよう勧告した。ガイドラインに具体的な昇給額が盛り込まれたのは12年から4年連続で、政府は勧告を受け入れると発表している。
低所得労働者の線引きは、14~15年ガイドラインまでの月給1,000Sドル以下から引き上げた。NWCは、労働市場の需要ひっ迫はさらなる賃金上昇につながると強調。シンガポール経済の安定と競争力維持のため、賃金上昇は長期的な生産性の向上とともにあるべきだと指摘し、全ての業界で生産性向上を第一に掲げることを求めた。14年の生産性は前年比0.8%減だった。
14年の月給1,000Sドル以下の低所得労働者が全体に占める割合は6.8%で、12年の9.8%より3.0ポイント低下。しかし、14年の勧告に従った企業は全体の31.0%で、前年の57.0%に比べて大幅に減少した。5月30日付ストレーツ・タイムズによると、シンガポール全国経営者連盟(SNEF)は勧告に従った企業数の割合が低下したことについて、「企業の業績が良好でなかったため」と説明した。
14年の名目賃金上昇率(賞与、中央積立基金=CPF拠出分を含む)は4.9%で、前年の5.3%を下回った。
NWCのペーター・シーア会長は、「低所得労働者の能力や生産性は向上している」と述べ、引き続き弱い立場にある低所得者層の支援をしていくことを明らかにした。
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(The Daily NNA労務・人事・安全ニュース http://news.nna.jp/ /6月2日号より転載)